窒息とは、気道が塞がれて呼吸ができなくなる状態です。
食事中における誤嚥や乳幼児の誤飲によるものが多く、呼吸ができなくなるため、短時間で重篤な状態になるリスクが非常に高くなります。
しかし、原因を知ることで十分な対策ができます。
本記事では、窒息の予防対策と適切な処置をわかりやすく解説していきます。
窒息の主な原因
窒息とは、気道が塞がれて呼吸ができなくなる状態です。
呼吸ができなくなるため、短時間で重篤な状態になる可能性があります。
窒息は高齢者と乳幼児に多く発生しています。
65歳以上の高齢者の窒息死は、年間で約3,500人以上発生し、うち2,500人以上が80歳以上です。
14歳以下の子どもの窒息死は、年間で100件以上発生し、うち0歳児が50%以上を占めています。
その主な原因は、食べ物を喉に詰まらせる誤嚥と、オモチャなど本来飲み込むべきでないものを誤って飲み込んでしまう誤飲によるものです。
誤嚥は高齢者に多く、飲み込む力の低下や唾液量の減少が要因となっています。
誤飲は乳幼児に多く、噛む力の弱さや食事時の行動が要因となっています。
誤嚥しやすい食べ物の特徴
高齢者の場合
誤嚥のリスクが高い食べ物を、重症以上の割合が高い順に示します。
- しらたき・糸こんにゃく: 71.4%
- たこ: 66.7%
- 油揚げ: 66.7%
- プルーン: 66.7%
- 牡蠣フライ: 60.0%
- 里芋: 58.3%
- カステラ: 57.1%
- ヨーグルト: 55.6%
- 餅: 54.7%
- こんにゃく、そうめん、干し柿: 50.0%
- かまぼこ、豆腐、プリン
※注意点
・餅は死亡例が最も多い食べ物です。
・60歳以上の高齢者は、ほぼすべての食品で重症以上の割合が50%を超えています。
・お茶などの液体であっても注意が必要です。
子どもの場合
ソーセージ・ピーナッツ・飴など、丸くツルッとした食べ物やパン、リンゴにも注意が必要です。特に5歳以下の子どもには、ナッツ類など硬くてかみ砕く必要のある食べ物を与えないよう注意が必要です。
また、オモチャなどトイレットペーパーの芯を通るものは、気道に入るので注意が必要です。目を離す際は、手が届く範囲に置かないなどの対策が必要です。
誤嚥しやすい食べ物の特徴
- 粘り気の強いもの:餅
- 噛み切りにくいもの:イカ、タコ
- のどごしがいいもの:そうめん、こんにゃく
- 水分が少ないもの:カステラ、パン
- 丸くツルッとしたもの:飴、ピーナッツ
窒息の予防対策

なんだか食べるのが怖くなってきて、食欲がなくなってきたよ。

対策方法を知ることで、窒息のリスクを最小限に抑えることができるよ。
誤嚥を防ぐための具体的な対策には、以下のようなものがあります:
食事に関する対策
- 食事姿勢を整える
・椅子に深く腰掛け、足を床につける。
・少し前かがみになり、顎を引く。
・ベッドで食べる場合は、背もたれを30~60度に調整し、頭に枕を当てる。 - 食事のペースと一口量に注意
・ゆっくりと時間をかけて食べる。
・一口量を適切に調整する。 - 食事形態の工夫
・誤嚥しやすい食材を避ける。
・必要に応じてペースト食、とろみ食、ゼリー食を利用する。
・水分を一緒に摂取する。 - 食事時間を決める
・1日のリズムを作り、食事時間を十分確保し、食事に集中できるようにする。
嚥下機能の維持
- 嚥下体操やパタカラ体操を行う。
- 適度に辛いものを摂取し、嚥下反射を促進する。
その他の注意点
- 誤嚥のサインに注意する
窒息した際は、気道が閉鎖しているため助けを呼ぶことができません。チョークサインや咳、むせるなどの症状を見逃さないようにしましょう。
※チョークサインとは、気道に異物が詰まり窒息した際に、無意識に親指と人差し指で自身ののどをつかむことです。これは世界共通の「窒息のサイン」として認識されています。 - 定期的な歯科検診を受ける
しっかりと噛み砕いて食べることが重要であるほか、入れ歯などによる誤嚥も発生しています。
これらの対策で誤嚥のリスクを軽減し、安全に食事を楽しみましょう。
対処方法

対策を知ったら食欲が出てきたぞ!

自分以外のだれかが窒息した場合に備えて、対処方法もしっかり学びましょう。
窒息の手順
窒息は短時間で重篤な状態になるリスクが非常に高くなるため、迅速かつ適切な対応が不可欠です。本記事では、窒息時の6つの重要なステップを詳しく解説します。早期認識から医師の診察まで、各段階での正しい行動を学び、いざという時に冷静に対処できる知識を身につけましょう。これらの手順を理解することで、生命を救う可能性が高まります
- 発見:前述に記載した通り、窒息した際は、気道が閉鎖しているため助けを呼ぶことができません。チョークサインや咳、むせるなどの症状を見逃さないようにしましょう。
- 水を飲む:水など飲むことができない場合は、咳をするよう促します。
- 体勢:前かがみ又は横向きに寝かせるなど、頭を胸より低くする姿勢をとります。
- 支える:傷病者が転倒しないように、体をしっかり支えます。乳児の場合は片腕にうつ伏せに乗せ、顔と頭を支えます。
- 背部叩打法
肩甲骨の間(背中の真ん中)を手のひらの付け根で力強く数回叩きます。 - 腹部突き上げ法(ハイムリック法)
・傷病者を後ろから抱え込む。
・片手で握りこぶしを作り、傷病者のみぞおちのやや下にあてる。
・そのこぶしをもう一方の手で握り、すばやく手前上方に向かって圧迫するように突き上げる。 - 意識がない場合は救急車を要請し、必要に応じて心肺蘇生法を行う。
※腹部突き上げ法(ハイムリック法)の注意点
・腹部の臓器損傷の可能性があるため、窒息が改善された場合も医療機関を受診する。
(救急車を要請した場合は、救急隊へ腹部突き上げ法を実施した旨伝える)
・乳幼児は腹部突き上げ法は行わず、背部叩打法のみを実施。
・妊婦の方は、腹部突き上げ法は行わず、背部叩打法又は胸部突き上げ法を実施する。
(胸部突き上げ方とは、握りこぶしをみぞおちのやや上にあて、腹部突き上げ法と同様に実施する)
・肥満体型の方は、腹部突き上げ法の効果が得られにくいため、背部叩打法又は胸部突き上げ法を実施する。

掃除機で詰まったものを吸い出したって話を聞いたことがあるよ。

たまたまうまくいく場合もあるけど、推奨はされていないよ。盲目的に実施することで、かえって口腔内を損傷させたり、悪化させてしまうことがあるみたい。
まとめ
窒息は気道が塞がれて呼吸ができなくなる危険な状態です。主に高齢者と乳幼児に多く発生し、誤嚥や誤飲が主な原因となっています1。予防と適切な対処が重要です。
窒息の主な原因
- 高齢者:嚥下機能の低下、唾液量の減少による誤嚥
- 乳幼児:噛む力の弱さ、食事時の行動による誤飲
誤嚥しやすい食べ物の特徴
- 粘り気の強いもの(餅)
- 噛み切りにくいもの(イカ、タコ)
- のどごしがいいもの(そうめん、こんにゃく)
- 水分が少ないもの(カステラ、パン)
- 丸くツルッとしたもの(飴、ピーナッツ)
予防対策
- 食事姿勢を整える
- 食事のペースと一口量に注意
- 食事形態の工夫
- 食事時間を決める
- 嚥下機能の維持(嚥下体操、パタカラ体操)
- 誤嚥のサインに注意
- 定期的な歯科検診
窒息時の対処手順
- 発見:チョークサイン、咳、むせなどの症状を確認
- 水を飲ませる、または咳を促す
- 頭を胸より低くする姿勢をとらせる
- 体をしっかり支える
- 背部叩打法を実施
- 腹部突き上げ法(ハイムリック法)を実施(注意点あり)3
意識がない場合は救急車を要請し、必要に応じて心肺蘇生法を行います。
これらの予防策と対処法を理解し実践することで、窒息のリスクを軽減し、緊急時に適切に対応することができます。

ほかにも日常に潜む危険はたくさんあります。対策と処置をしっかり学んでいきましょう!またね!
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